漢字の学習意識に関するタイ人日本語学習者とタイ人日本語教師の傾向と対照

บทคัดย่อ

タイ人日本語学習者が抱く漢字の学習意識は多岐に渡ることが先行研究から明らかになっている。しかしながら、タイ人日本語教師が賛同する漢字の学習意識に対する研究はほとんど行われていないのが実情であることから、タイ人日本語学習者が抱く漢字の学習意識とタイ人日本語教師が賛同する漢字の学習意識とを対照することは意義があると考えた。そこで、タイ人日本語学習者129名とタイ人日本語教師35名を対象に質問紙調査を実施し、統計学を基に対照分析を行った。その結果と考察は以下の通りである。

• タイ人日本語学習者と比較して、タイ人日本語教師のほうが漢字学習に関する意識がより肯定的なものであった。また、タイ人日本語教師のほうが、目的を持って漢字学習に臨む姿勢及び漢字学習と日本文化との結びつきが重要と捉える傾向が見られた。
• 中高年のタイ人日本語教師と比較して、若手のタイ人日本語教師のほうが「漢字の読み」を重視する傾向が高かった。換言すれば、中高年のタイ人日本語教師のほうが「漢字の書き」を重視する傾向が相対的に高いことが示唆された。
• タイ人日本語学習者は、間違えそうな場合「漢字使用の回避」をする傾向が見られた。

　今後の漢字教育への提案として、「漢字の読み」といった視覚情報を重視する現状及び時代の趨勢を鑑みて、教室活動におけるICTの積極的な活用を取り上げたい。